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実演研修 大動物シンポジウム 2013
大動物シンポジウム 2013

コクシジウム検査、定量的糞便検査の重要性を知る

麻布大学 獣医学部 平 健介 先生

 平健介先生には2012年の当シンポジウムで、Oリング法による牛コクシジウム症の検査法についてご講演いただき、皆様より大きな反響をいただきました(大動物シンポジウム2012 講演5 『牛コクシジウム病の臨床実務における検査法』)。そこで、先生を再びお招きして、今度は同検査法を実演形式でレクチャーしていただくことになりました。

 研修では、会場の各テーブルに検査キットを用意。参加者の先生方に糞便(会場ではダミーを使用)の固さの判定からコクシジウム種の簡易鑑別までを、Oリング法による糞便検査の流れに沿って体験していただきました。本レポートでは、とても有意義な時間となった研修の内容をお伝えします。

はじめに:牛コクシジウム症における定量的糞便検査の重要性


平先生によるイントロダクション。

 牛コクシジウム症の治療・予防効果の判定には、定量値であるOPG値の推移を調べる必要がある。一般的な浮遊法は検出精度こそ高いが、定量的な検査法ではない。オーシストが検出されるかされないかではなく、どのくらいあるのかを定量的に調べることが、牛コクシジウム症の糞便検査においては意味がある。

 臨床現場において、比較的短時間で安価に行える定量的検査法として、Oリング法がある。Oリング法は、よく知られているマックマスター法と同じ原理の検査法で、マックマスター計算盤の代りにゴム製の工業用Oリングとスライドガラスで作成したOリングスライドを用いる。このため、より安価で、繰返しの煮沸消毒に耐えるといった利点がある。今回はOリング法を用いた糞便検査法を、実演を交えて紹介する。

実演研修:[STEP.1] 採糞および糞の固さの判定


写真1:糞便材料の作製に必要な道具類
写真2:糞の固さの判定方法を実演する平先生

 糞便は、原則として、新鮮な直腸便を用いる。採材には透明なポリ袋を用いると、糞の色や異物・虫体断片等の混入を確認するのに都合が良い。糞便材料を作製する道具として、糞評量リング(糞便1.1gが採取できる)、60ml用の試験管とメッシュ金網があると便利である(写真1)。これらはプラスチックカップ(55mlの目盛をつける)と茶こしで代用できる。

 糞の固さの判定は、糞秤量リングで行う。54mlの水を入れた上述の試験管に設置したメッシュ金網上で、リングを回転させた際に糞便がリングからとれないものを有形便とする。同様にリングをまわして、糞便がリングから簡単にとれるものを軟便。糞便が柔らかすぎて、糞秤量リングにとれず、かつ、採糞ポリ袋を傾けても糞便がなかなか落ちてこないものを下痢便。同様の手順で、糞便が容易に落ちてくるものを水様性下痢とする(写真2)。

実演の模様を動画でご覧いただけます

実演研修:[STEP.2] 鏡検材料の作製


写真3:実際に5mlの糞液を採取

 糞便1.1gを、メッシュ網を通して濾し、試験管にて55mlの糞液を作成する。よく攪拌して5mlを小試験管にとり、残りの50mlと分ければ、ちょうど糞便は0.1gと1gに分離される。小試験管に取った5ml糞液を遠心(2000~2500rpm、5分)し、上清を捨てる。これに1.7mlの浮遊液(飽和食塩水等)を加えれば、鏡検に供する1.8ml糞便浮遊液ができる(写真3)。

実演の模様を動画でご覧いただけます

実演研修:[STEP.3] Oリングスライドの作成とOPG測定


写真4:Oリングスライドの作成に必要な道具
写真5:Oリングスライドにカバーグラスをかける

 シャーレなどに糊を薄く塗り、その上にOリングゴム(内径7.8mm、厚さ1.9mm)を乗せ、ゴムの片面に微量の糊をつける。糊がついたOリング2つをスライドグラスに置き、軽く圧して接着させる。これでOリングスライドが完成する。

 よく攪拌した糞便浮遊液をすばやくOリングの内側(チャンバー)に注入し、10秒以内にカバーガラスをかける(写真5)。カバーをかけるのに時間がかかりすぎると、浮遊したオーシストが糞液と一緒にチャンバーの外へあふれ出てしまう。これでは正確なOPG値が測定できないので注意したい。

 OPG値は、2つのチャンバーから検出されたオーシスト総数に100を乗じた値である。すなわち、検出限界OPG値は100で、理論的には、糞便1gあたりのオーシスト数が99個以下の場合には検出されない。
 スライド上のOリング数を変えれば、検査精度が変わるが、OPG値が測定できる。リング1つを鏡検した場合、検出数に200を乗じた値がOPG(検出限界は200OPG)、リング4つの場合は検出総数に50を乗ずればよい(検出限界は50OPG)。

実演の模様を動画でご覧いただけます

実演研修:[STEP.4] 種の簡易鑑別


写真6:会場内における鏡検と種の簡易鑑別
写真7:牛に寄生するEimeria13種のオーシストの形態的特徴(Levine and lvens 1970)

 オーシストの形態的特徴(大きさ、形、色、ミクロパイルキャップの有無、等)により種を鑑別する(写真6)。線虫類の虫卵とコクシジウムオーシストとの見分けは、大きさが異なるので容易である。牛に寄生するEimeria種は13種あるが(写真7)、重要なのは病原性が強いE.zuerniiE.bovisの2種である。それ以外は、「その他の種」としても差し支えないと思う。コクシジウム種の鑑別後、その構成比から種類別のOPG値を確認する。

終わりに:糞便検査を積極的に


 今回実演したOリング法は、濃縮型マックマスター法と同じ原理で、遠心処理をともなう検査法。鏡検材料作成のところで、最初から糞便0.1gを採取して小試験管にとり、1.7mlの浮遊液を加えてで糞液をつくる方法もある。いわゆる単純マックマスター法で、遠心処理を必要しないので、さらに簡単にOPG検査ができる。ただし、後者では鏡検時に夾雑物が多くなるため検出精度が下がることは理解しておく必要がある。

 糞便を5%ホルマリン糞液として10℃以下で冷蔵保存すれば、1年後でもOリング法等によりOPGが測定でき、また、種の鑑別もできることが分かっている。冷蔵保存すれば、いつでも検査ができるし、再検査や外部への検査依頼も容易にできる。

 牛コクシジウム症の治療・予防効果の判定には、OPG値の推移を調べることが必要。また、牛コクシジウム症の予防対策の検討、発症要因の解明のためには、現場からのデータの集積が必須と思う。OPG値を測定すれば、術者が異なっても、データの比較ができる。

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