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バイエル薬品 大動物シンポジウム 2014
大動物シンポジウム 2014

臨床現場における子牛疾病対策事例2 コクシジウムはコントロールされているのか?~F1肥育農家での検証~

有限会社知多大動物病院 山本 幸夫 先生

バイコックスの効果を確認するべく、コクシジウムの浸潤調査に着手


スライド1:農場内概略
スライド2:小ハウスの内部
スライド3:大ハウスの内部

 我々の病院がある愛知県の知多半島は、古くから酪農が盛んで、乳牛自家育成よりも乳肉複合の農場が多い地域である。今回、対象としたのは、知多半島には珍しい肥育専業農家で、概ね2カ月齢のF1メスのみを県内の家畜市場より導入している飼養総頭数約200頭の農場である。導入後1~4週間は単飼、それ以降は5頭群飼とし、単飼から小ハウス→大ハウス→肥育舎の順に移動させている(スライド1~3)。

 管理者が代替わりした2005年から抜本的な改善に取り組み、疾病の中心であった呼吸器病や腸炎は大きく改善し、出荷体重も増え、枝重・肉質ともに改善が見られた。

 バイコックスは、発売当初の2008年から導入当日に処方しており6年が経過した。しかし下痢や軟便の牛は散見され、バイコックスの投与タイミングは最適なのか、農場のコクシジウムは本当にコントロールされているのか気になっていた。

長年、放置してきたこの疑問に答えを出すべく、糞便検査を実施し、コクシジウムの浸潤状況を調査。OPG値およびコクシジウム種と糞便性状との相関の有無を調べるため、糞便性状をスコア化して記録した。

投与後、OPGは低値で推移し、臨床症状との相関性は認められなかった


スライド4:検出されたコクシジウム種の割合
スライド5:糞便検査の結果(大ハウス、各5頭飼育)

 調査では、生後8週齢(単飼子牛舎)から25週齢(大ハウス)までの計43頭の直腸便を採取し、採材時の糞便性状について、有形便を1、軟便を2、下痢便を3、水様性下痢を4とした。糞便検査はOリング法(検出限界OPG値100)を用い、麻布大学に依頼した。

 糞便検査の結果、陽性率は58.1%(25頭/43頭)。検出されたコクシジウム種は9種類。複数種の感染率は 52.0%(13頭/25頭)だったが、その多くは2~3種類だった。

 検出種の割合を棒グラフで表した(スライド4)。病原性に関し、強い種を赤、中程度の種を黄色、弱い種もしくは病原性自体が不明な種を青で示した。検出率が高かったのは、E. ellipsoidalis E. zuernii 、E. bovis だが、これらのOPG最高値は概ね低かった。E. bovis の5,100とE. ellipsoidalis の5,040に関しては、導入直後、バイコックス投与前の牛から検出されたもので、両方とも有形便だった。

 バイコックスは投与後約4週間、オーシスト排出抑制効果が持続すると言われている通り、大ハウス(スライド5)ではその期間が過ぎてしまっているので、検出率が高い傾向にあると思われるが、6週ぐらいまでは低値で推移している。パドック①のOPG800(最高値)だった個体は有形便で、未検出の2頭がむしろ軟便だった。しかしパドック③のOPG800(最高値)は内624がE. bovis で、その個体は下痢便であった。パドック②では、1個体で、これまで一度も検出されていなかったE. subspherica がOPG24,000(最高値)を示した。感染経路は不明だが、この牛だけが軟便だった。別の1頭は100、残り3頭は未検出だった。パドック④は最高値だった個体のOPG4,000の全てがE. bovis であった。下痢便だったので関連も疑われるが、他にオーシストが検出された3個体はOPG1,000未満だった。

バイコックスの予防的投与で、コクシジウムはコントロールされている


スライド6:導入時にオーシストが検出された子牛のバイコックス投与前後のOPG値、コクシジウム種および糞便スコア
スライド7:糞便スコアとOPG値との関係(全43頭)
スライド8:群別の合計OPG値、コクシジウム種および平均糞便スコア

 導入時にオーシストが検出された子牛のOPG値、コクシジウム種および平均糞便スコアをグラフにまとめた(スライド6)。導入子牛はコクシジウムに感染している割合が高く、バイコックス投与後のOPGは低値で推移し、オーシストの排泄は抑制されていた。糞便スコアが2(軟便)以上の個体は43頭中19頭だったが、その内、OPG値が1,000以上の個体は2頭のみであった(スライド7)。平均糞便スコアは、赤い矢印のように、小ハウスでは緩やかな改善傾向、大ハウスでは緩やかな悪化傾向にあった(スライド8)。小ハウスでは、下痢を発見した際、呼吸器症状がある場合はCTC投与、ない場合はビオスリーを5日間、餌に混ぜて投与することになっており、 下痢に関しては1週間以内にほぼすべて治癒する。大ハウスでは、畜主が気に掛けないレベルだったため、対処はしていない。

 以上のことから、バイコックスの予防的投与によって、コクシジウムはコントロールされていることが示唆された。投与後の牛では、E. subspherica が検出されたOPG値24,000の個体以外、すべてOPG値は5,000未満であり、コクシジウムは原因から除外してよいと考えられる。すなわちバイコックスの投与タイミングはほぼ適切であり、外部からのコクシジウムの侵入を防ぎつつ、農場内での浸潤も比較的コントロールされた状態にある。

 しかし一見、イレギュラーに見えるこのE. subspherica のOPG値24,000は、重要なことを示していると思う。コクシジウムの再感染抵抗性は、種同士の交差性が低いため、今のやり方ではバイコックスを投与していても、牧場内で新たな種に感染するということが起きる。この農場ではたまたま上手くいっていただけと捉えるべきで、コクシジウム対策は他の農場の真似をすればいいものではなく、農場ごとに予防法を検討しなければ効果の出ない場合がある、ということを再認識した。

まとめ

  • 導入子牛(2ヵ月齢のF1メス)は、コクシジウムに感染している割合が高かったが、バイコックス投与後のOPGは低値で推移していた。
  • 軟便以上の糞便性状は全てバイコックス投与後に見られたが、その時のOPGはほとんどの個体で低値であった。
  • バイコックスの予防的投与によって、コクシジウムはコントロールされており、軟便以上の個体に関しても、コクシジウムは原因から除外してよいと考えられる。
  • 当該農場においては、2ヵ月齢のF1メス導入時にバイコックスを投与するというタイミングは、ほぼ適切であると考えられる。
  • 農場ごとに投与タイミングを検討しなければ、効果が出ない場合があると予想される。
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