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臨床現場における子牛疾病対策事例3 管内の黒毛和種繁殖農家における子牛下痢症対策

NOSAI岩手北部 家畜診療センター 二戸診療所 石澤 信人 先生

子牛下痢症の多発を受け、巡回検診時に下痢症対策を実施


スライド1:子牛下痢症の発症状況
スライド2:繁殖台帳の作成
スライド3:病歴の把握

 今回、子牛下痢症対策を行った軽米町は、岩手県最北部、寒暖差の激しい山間地に位置する。以前から黒毛和種の繁殖に力を入れており、その割合は町内の牛飼養農家全体の86.7%を占めている。子牛の下痢が多発していたために、平成25年4月から下痢低減を目的とした対策を巡回検診時に実施し、その効果を検討した(スライド1)。調査は家畜共済に加入している黒毛和種繁殖農家72戸を対象に、当診療所で巡回検診を行っている農家26戸を指導区、それ以外の農家46戸を対照区とし、比較検討した。

 指導区では、1回目の巡回検診時に、各農家の繁殖台帳を作成。平均分娩間隔、平均空胎日数、分娩予定日を把握し、分娩時の事故防止、下痢予防ワクチン接種日等の管理に利用した(スライド2)。また、共済カルテより病歴を把握。各農家のカルテをデータ化することで、下痢発症時期や発症頭数を把握し、診療所獣医師間で共有した(スライド3)。それに沿って、各農家に合った下痢症対策を考案し、2回目以降の巡回検診時に実施方法を指導した。

下痢症の主な要因である母牛側、子牛側、環境的側面についてそれぞれの対策を指導


スライド4:下痢症対策(母牛への対策)
スライド5:下痢症対策(子牛への対策)
スライド6:下痢症対策(環境面への対策)

 まず、母牛への対策として、予防プログラムを作成した。分娩前には、イベルメクチン製剤と下痢予防ワクチンを投与。これらは、母牛の内部寄生虫の駆除と、細菌性あるいはウイルスによる感染性の下痢の予防を目的として行った。また、母牛の健康管理と子牛の虚弱症候群対策、特に白筋症対策として、ビタミンE高濃度鉱塩を常時設置した(スライド4)。併せて母牛の栄養管理指導も実施。乳牛のリードフィーディングをヒントに、給与メニューを細かく設定し、ボディコンディションスコアを参考に、飼料給与量も指導した。

 次に、子牛への対策として、予防プログラムを作成した。子牛の1カ月齢と6カ月齢において、イベルメクチン製剤を投与。約1カ月齢において、スルファモノメトキシン・オルメトプリム製剤またはトルトラズリル(TZ)製剤を投与して駆虫した。さらに、ビタミンE高濃度鉱塩を常時設置し、子牛に舐めさせることで、白筋症対策とした(スライド5)。下痢発症時には、治療日数の短縮と重症化の予防を目的に、断乳処置を実施。発症した時には、適切な看護指導を行った。

 最後に、環境面への対策として、哺育環境を改善した。以前は、集団哺育をしていたが、分娩後約1ヶ月齢までは、親と子を1対1で隔離飼養することを徹底し、感染の機会を減らした。また、分娩・移動の度に、石灰や次亜塩素酸ナトリウム等による消毒を徹底した(スライド6)。

比較調査の結果、対策を行った指導区に効果がみられた


スライド7:調査項目
スライド8:各下痢症対策実施状況
スライド9:分娩頭数に対する下痢症の割合

 巡回検診は計6回行い、繁殖台帳、または病歴データを参考にし、対話を重視した指導を実施した。また、検診の度に、問題点または今後取り組むことを記録し、農家に提示し、実行させた。

 下痢症対策の調査項目は母牛、子牛それぞれに設定し、巡回検診時に聞き取り、比較検討した(スライド7)。イベルメクチン製剤投与実施率は、当組合の事業で全ての農家に塗布または配布していることから、両区で100%だった。下痢予防ワクチン接種率、下痢発症時断乳実施率、TZ製剤投与実施率は、指導区で高かった(スライド8)。

 下痢症対策の効果を調べるための比較では、分娩頭数に対する下痢症の割合に関し、3日以上治療率および死亡率が、指導区で低値を示している。1ヵ月以内下痢発症頭数に対する割合を見ると、指導区において、3日以上治療頭数割合、死亡頭数割合は低値を示している(スライド9)。このことから、今回実施した下痢症対策は有効であると考えられる。

 TZ製剤投与112頭に対しての投与後の下痢発症率を調べたところ、10.7%と低値を示していた。このことから、下痢対策の一部としてのTZ製剤投与は効果的である可能性が示唆された。

 以上の結果を受け、平成25年度は36.1%だった巡回検診農家の割合を、平成26年度は57.1%と増やしている。特に25年度に事故の多かった農家や、地域のリーダー格の農家を引き込み、普及させることを心がけた。

 検診農家からは、「子牛の下痢が減って管理が楽になった」「様々な予防の重要性がわかった」「下痢以外の病気も少なくなった」「子牛が高く売れるようになった」と喜びの声が広がり、他の地区の農家からも指導してほしいという要望があがっている。まだまだ分からないことが多いが、これらの活動をより進めていきたい。

まとめ

  • 各対策をより多く実施した指導区における3日以上治療頭数および下痢死亡頭数割合が、対照区に比べ低値を示したことから、今回実施した下痢症対策は有効であると考えられる。
  • TZ製剤投与後の下痢頭数割合が低値を示したことから、下痢対策の一部としてのTZ製剤投与は効果的である可能性が示唆された。
  • 下痢の要因は様々であり、各農家において異なるため、各農家に合った対策が必要である。
  • 今後も対話を重視した巡回指導を広く行い、疾病予防対策を普及させていく。
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