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バイエル薬品 大動物シンポジウム 2019
大動物シンポジウム 2019

乳用子牛の飼養管理

地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 農業研究本部 酪農試験場 天北支場 支場長 農学博士 大坂 郁夫 先生

子牛の栄養は、栄養源を液状飼料だけに依存している「液状飼料期」、液状飼料と離乳食=スターターの両方を栄養源とする「移行期」、さらにはルーメン発酵を利用し、スターターや粗飼料といった固形飼料だけを栄養とする「反芻期」に区分される。この栄養の切り替えをいかにスムーズにして、良好な成長をさせるかが、子牛飼養管理の基本的な考え方である。今回は出生~初産分娩までの約2年間のうち、哺乳期に相当する「液状飼料期から移行期」に焦点を当てて概説する。

初乳の役割と給与法~十分な栄養・機能性物質の供給と受動免疫移行不全を防ぐために~


スライド1:抗体摂取量と摂取24時間後の血清中IgG濃度との関係
スライド2:腹いっぱいとは?

新生子牛には、母牛由来の初乳(分娩後、最初に搾った乳)を与えてほしい。抗体の含有量は、搾乳2回目で半減し、3回目以降は極めて少なくなる。初乳は乳糖が低く、脂肪が高いのが特徴。脂肪は乳糖やタンパク質よりも2.25倍エネルギーを多く含んでいるので、初乳給与により多くのエネルギーを摂取できる。さらにホルモンや成長因子(インスリン、IGF-1)等の含有量が多く、ラクトフェリンや抗菌性物質などの機能性成分も含まれている。このような理由から、出生後は抗体、栄養、機能性成分の全てが多く含まれる親の初乳を飲ませることが一番である。初乳が不足または利用不可能な場合は凍結初乳を、それも難しい場合は初乳製剤というように、優先順位をつけて、状況により選択して飲ませると良い。初乳製剤を単独で使用しなければならない場合は、初乳由来の製品を2~3袋、初回給与時に使用していただきたい。

初乳給与は出生後6時間以内を基本として、遅くとも12時間以内に完了すべきである。吸収率は出生後12時間程度まで、1時間あたり約0.24%と緩やかに低下するが、その後ら約2.5%と急速に低下する。FPT(受動免疫移行不全)にさせない血清中IgG濃度の最低ラインが10g/Lであることを考えると、出生~6時間程度に初乳を給与するのであれば、抗体量は120gほど、6~12時間では150gほど、12時間を過ぎれば220g以上が必要となる。(スライド1)

初回の初乳給与量は、2Lに制限することなく子牛が満足するまで飲ませたほうがいい。初回給与時に初乳を自由摂取させると、3L以上飲めるのは約8割。2.5L以上~3.0L未満も含めると9割以上になる。このことから、最低でも3Lを目安に初乳を給与していただきたい。(スライド2)

6時間以内であれば抗体濃度が40g/L以上、12時間以内では50g/以上の初乳を3L摂取出来ればFPT最低ラインをクリアできるが、12時間を過ぎると常に高品質な初乳(60g/L以上)を4L以上飲ませる必要があり、栄養分の摂取も遅れてしまうので現実的ではない。

液状飼料である全乳と代用乳の違い、および代用乳の種類と特徴について


スライド3:①化学成分と栄養価
スライド4:③浸透圧

多くの酪農場が使用している代用乳は、次の点で全乳と異なるので留意する必要がある(スライド3)。

一つめは、代用乳は全乳よりも脂肪含量が少なく設定されていること。つまり、代用乳は全乳よりもエネルギー含量が少ないことを意味している。代用乳はさらに大きく3区分に分けることができる。哺乳期間の発育を重視するなら (高蛋白)低脂肪タイプ。代用乳の中でも脂肪含量が少ないので哺乳回数や給与量の増加が必須である。エネルギー供給を重視する場合は高脂肪タイプ。代用乳の中で脂肪含量が高いので制限哺乳で使用する。標準タイプはその中間であり、ある程度給与量を高めることが可能である。このように、何を重視するかに合わせて使い分けが必要である。

二つめは、代用乳は全乳を給与するよりも第四胃でのレンネットカード形成が少ないこと。代用乳の主原料は、バターやチーズ製造時の副産物である脱脂乳とチーズホエイであり、脱脂粉乳しかカードを形成するカゼインタンパク質を含まない。したがって、代用乳は全乳よりも比較的短時間で第四胃以降の下部消化管へ栄養分が流入することになる。また代用乳の脂肪は、脂肪酸組成が乳脂肪と異なる植物性油やラードなどで代用されているので、不適切な給与方法(例:脂肪含量が高い代用乳を1回に多量に哺乳するなど)によっては下痢の原因になるかもしれない。

三つめは浸透圧。全乳は全固形分が約12.5%、300mOsm/L程度の浸透圧となり、これが理想的と言われている。当初は、全乳の全固形分に準じて代用乳を125g/Lにする設定の根拠としていたが、この濃度ではエネルギー含量が全乳よりも少なくなるので、現在では、濃度を高める傾向がある。浸透圧は代用乳の濃度に比例して上昇するため、消化管からの吸収率低下に伴う第四胃からの排出能の低下が第四胃誇張症の一要因になるとの報告もある。このように、適正な濃度で1回に給与する量を多くし過ぎても、濃度を高め過ぎて給与しても疾病のリスクを伴うことになる。あるガイドラインでは浸透圧は500~600mOsm/L以下、1回の給与量は2~2.5L、1日2回給与の場合は1回の給与量は3L程度が目安としている。浸透圧から逆算すると、標準タイプの濃度は150g/Lくらいが上限となる。ただし、乳成分の関係から低脂肪タイプの場合は160~170 g/L、高脂肪タイプの場合は140 g/Lくらいがいいかと思う。また、代用乳を使用する場合、哺乳の量ではなく代用乳量で考えること。濃度100g/Lで8L/日の哺乳よりも150g/Lで6L/日の方が、より多くの栄養を摂取することになる。このポイントをきちんと押さえておくことも重要である。(スライド4)

液状飼料・スターター・乾草の役割およびルーメン発達と移行期の関係


スライド5:加齢によるルーメン内容液性状の比較
スライド6:哺乳期の乾草摂取量とスターター摂取量及び体重増加量の関係

哺乳期におけるスターターの役割は何か。ミルクの場合はルーメンを介さず第四胃で消化されて下部消化管に流入して栄養源となるがルーメン発達に寄与しない。乾草は物理的刺激によるルーメンの筋層発達に効果があるが、ルーメン内で繊維分解菌が増殖してVFAを産生しない限り栄養源にならない。スターターは乾草よりもVFAを多く産生するので、ルーメン発達を促進し、第四胃以降で消化・吸収できる栄養分が含まれているので、ルーメンが未発達でも栄養源にもなり得る。このようにスターターは、栄養源を乳から粗飼料へ移行させるための仲介する役割を果たしている。

固形飼料由来の栄養源がスターター主体になると、総VFA濃度が高まるので哺乳時期(離乳時)のルーメン内容液は大きく酸性に傾くが、12週齢ではほぼ中性となり、総VFA濃度は離乳時よりも低下する。これは、哺乳子牛のルーメン絨毛は発達途中であるため、VFA吸収量よりも産生量の方が上回ること、離乳後は、ルーメン容積の増大、絨毛のさらなる伸長によりVFA吸収量が増加することでルーメン内溶液の総VFA濃度は低くなり、摂取する飼料の粗飼料割合の増加により、唾液の流入量が多くなりルーメン内溶液のpHが上昇すると考えられる。(スライド5)

ルーメン内容液が低pHの環境では繊維分解菌が生存できる環境ではない。このデータは、哺乳子牛に乾草を給与しても栄養源にはならないことを示唆している。しかし乾草給与の有無で試験を行うと、無給与区ではルーメン壁に糊状となったスターターのペレットが付着する、あるいはルーメン内容物に毛玉(hair ball)や敷料の麦稈が確認されるなどの異常が見られた。このことから、乾草は筋層の発達だけで無くルーメン絨毛の正常な発達、および哺乳期から反芻を促して唾液の流入によるルーメン内の環境改善に必要と考えられる。ただし、多量の乾草摂取はスターター摂取量を抑制する。群管理では他の子牛から学習してスターターと乾草の両方をバランス良く摂取するが、個体管理の子牛では、乾草摂取量は個体によって大きく変動するので飼料の馴致や量を制限する必要がある。スターターの摂取量を抑制せず、哺乳期間の増体量を高める乾草給与量として、3-4cm程度に細切した柔らかい乾草40~50g/頭/日が目安となる。(スライド6)

制限哺乳を基本とした発育向上のための改善点


スライド7:スターター,乾草摂取量(上)および飲水量(下)の推移
スライド8:哺乳プログラムの改善点① 維持に必要な代用乳量(出生~3週齢)
スライド9:哺乳プログラムの改善点② 生時体重で哺乳量を設定

哺乳方法は、現在2つ提示されている。一つは従来からの制限哺乳法、もう一つは、哺乳量を高めた強化哺乳法である。前者は哺乳期のスターター摂取量が高まり早期離乳が可能になるが、哺乳期間の発育に問題がある。後者は哺乳期間の発育は良好だが、離乳後の発育が停滞するため、離乳するのに十分なスターターを摂取させるために哺乳期間を延長しなければならない。このように、哺乳法はどちらを選択しても一長一短があるので、各酪農場において持続可能な方法とそれにあった代用乳を選択して欲しい。

しかしながら、労力やコストを考えて哺乳期間はなるべく短くして哺乳期も離乳後も発育が良好であるのが理想である。そこで、従来の制限哺乳法の改善点について検討してみた。 まず、制限哺乳法が哺乳期に発育を停滞させる原因を探った。飼養条件は、標準的な代用乳(タンパク質24%、脂肪20%)を用いて、哺乳量は1日4L(150g/L)を1日2回の定量給与で6週齢離乳、スターターは上限2.5kgにして自由摂取とした。個体ごとに、スターター、乾草および飲水量を毎日記録した。気付いたことは三つある。(スライド7)

一つめは、哺乳量を減量しなくてもスターターの摂取はある時期を境に急激に上昇すること。おそらくVFAの吸収が始まる時期なのだろう。おおよそ3週齢が液状飼料期と移行期の境界と考えられる。スターターを摂取してからVFA吸収が始まるのに2週間かかるとしたら、生後1週間程度までにはスターターを摂取しているのが良いのかと思う。

二つめは、スターターの摂取量と連動して、乾草摂取量、飲水量が増加するということ。哺乳により、十分な水分が摂取できていると思われがちだが、水を給与しないとスターターの摂取量は増加しない。なぜなら、乳と異なり水はルーメンに入る。飲水によりスターターの発酵を助長するからである。スターター給与開始とともに水も十分に飲める環境にしておいてほしい。

三つめは、哺乳量4L/日の制限哺乳は、早期からスターター摂取量が増加することを期待したが、3週齢までは、スターター摂取量が極めて少なく栄養源としてほとんど寄与していない。前述したようにこの時期のエネルギーは液状飼料に依存している。標準的な代用乳(タンパク質24%、脂肪20%)を用いて、濃度150g/Lで4L/日の哺乳量では、代用乳量は600g。熱的中性圏でも体の維持に300g以上の代用乳が必要となる。環境温度が0℃になると、体温を維持するのにエネルギーが消費されるため、ほぼ増体しないことになる。(スライド8)

まとめると、①ルーメンが発達すれば哺乳量を減量しなくてもスターター摂取量は増加する。②スターターの給与は遅くとも1週齢程度で開始するとともに、乾草や水もセットで摂取出来る環境に置く必要がある、③制限哺乳しても、3週齢程度までのスターター摂取量が少なく、哺乳からのエネルギーも少ない。制限哺乳では、3週齢までの発育停滞が哺乳期全体の増体量を低下させる原因である、ということが示された。液状飼料期の代用乳量を高めることが改善点の一つである。

また、代用乳量が1種類だと、出生時体重が大きい場合液状飼料期にはほとんど体重増加しないことがあるので、出生時の体格に応じて、最低2種類設定することを推奨する。(スライド9)

成長促進と早期離乳を見据えた哺乳プログラム


スライド10:代用乳, スターター摂取量および血清中BHBA濃度の推移
スライド11:代用乳量の違いと発育値,疾病治療との関係
スライド12:哺乳期の発育差は持続する

これまでのことを踏まえて、次のような目的、改善点を含めた飼養条件で、6週齢離乳での発育改善を試みた。
発育目標:2か月齢で出生時体重の2倍と10cmの体高増加

飼養条件

  • 群飼養による自動哺乳装置を用いた哺乳
  • 水、スターター、乾草、固形塩は自由アクセス
  • 代用乳量は哺乳期間定量の一発離乳
  • 代用乳量の処理
    標準的な代用乳(粗タンパク質CP24%、脂肪20%)

体重38-44kg

体重45-52kg

多給区(出生時体重の約2.2%)

900g/日

1050g/日

標準区(出生時体重の約1.5%)

600g/日

675g/日

※初日は初乳給与、その後は移行乳給与して3日齢から処理。濃度は150g/L

この試験では、代用乳量を高めることにより、下痢等の疾病発症は増加せずに、哺乳期間、特に液状飼料期の体重および増加量が高まることが明らかになった。哺乳量が多いと、スターターの摂取量はある程度抑制されるが、離乳の基準となるスターター摂取量は1000g/日を満たしていた。スターター摂取量は乳中の脂肪量にも影響を受けるが、代用乳の脂肪含量は全乳よりも少ないのでスターター摂取量の抑制が軽減されたのであろう。

VFAがルーメン上皮で代謝・吸収をされる際、酪酸は、ほぼ100%、BHBA(β-ヒドロキシ酪酸)に変わる。血清中のBHBAを指標にして経日的に見ると、スターター摂取量と同様な推移を示し、1日の代用乳量の多少にかかわらず、3週齢程度から増加した。この結果により、液状飼料期は3週齢程度であることが確認できた。

この試験では、離乳方法として代用乳量を漸減せずに一発離乳を行っている。代用乳量を体重比で見ると、加齢とともに体重が増加するのでその割合は徐々に低下する。つまり、相対的に代用乳量を減らすことになる。代謝エネルギー換算にすると代用乳100gの減少はスターター150g摂取出来て同等のエネルギー量となる。離乳に近づき急激に代用乳量を減らすことは、それだけのスターター摂取量にならずに結果的に哺乳期の増体の低下や、離乳後の発育停滞につながることになる。また、離乳後2~3日で標準区と差の無い量を摂取しており、離乳後の発育停滞は見られなかった。代用乳量を高めたことにより離乳時のスターター摂取量は、標準区と比較して少なかったものの離乳後2~3日で差は無くなり、離乳後の発育低下も無く、哺乳期の体格差はそのまま継続して、ほぼ目標の発育になることが示された。(スライド10、11、12)

まとめ

  • 分娩後、最初に搾乳した乳を初乳といい、抗体、栄養分、機能性物質が多く含まれている。子牛には初乳給与を最優先にして、利用不能または不足する場合は凍結初乳、初乳製剤の順で利用する。初乳製剤だけしかない場合は初乳由来の製剤を用いる。
  • 子牛には免疫移行不全を防ぐためには、出生後6時間以内、遅くとも12時間以内に、初乳3Lを基本として子牛が満足するまで飲ませる。
  • 代用乳は濃度を調整できるが、濃度と比例して浸透圧が上昇していく。濃すぎる濃度は疾病を誘引するリスクがあるので、濃度は代用乳の種類に合わせて各々低脂肪タイプ160-170 g/L、標準タイプ150g/L、高脂肪タイプ140g/L 前後のものを1回2L、1日2回給与では3L程度を目安にする。
  • 哺乳期の乾草は、栄養源としてでは無く、正常なルーメン発達に必要である。柔らかく3-4cm程度に細切した乾草を40-50g/日程度を目安に給与する。特に個体管理では偏食しないように、馴致や給与量のコントロールが必要である。
  • 6週齢離乳に向けた制限哺乳で標準的な代用乳を用いても、体重比2.2%の代用乳量、定量給与にすると、哺乳期、特に液状飼料期の発育は改善し、離乳時に必要なスターターを摂取出来る。また、離乳後も発育停滞が無く、哺乳期の発育差はそのまま持続する。
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